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三 国 史 記   天 文 記 事 


1986/09/06

古代朝鮮の史書としてよく知られている三国史記(東洋文庫版)に見られる天文現象についての記述を抜粋した。星空再現などを試みようとしているうちに斎藤国治氏などによって研究が行われたので、本リストは追究されることはなかった。

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   <年号>       <西暦>    <内容>   <巻・ペ−ジ>
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1)始祖前紀4年       前54     日食     1−4
  夏4月、辛丑の日

2)始祖前紀9年       前49     ・星     1−4
  春3月、王良(カシオペヤの星)のそばに

3)始祖前紀14年      前44     ・星     1−5
  夏4月、参(からすき星)のそばに

4)始祖前紀24年      前34     日食     1−5
  夏6月、壬申の日の晦

5)始祖前紀30年      前28     日食     1−5
  夏4月、己亥の日の晦

6)始祖前紀32年      前26     日食     1−5
  秋8月、乙卯の日の晦

7)始祖前紀43年      前15     日食     1−7
  春2月、乙酉の日の晦

8)始祖前紀54年      前4      ・星     1−7
  春2月、己酉、河鼓(かこ、ひこ星にある3星のひとつ)

9)始祖前紀56年      前2      日食     1−7
  春正月、辛丑の日にあたる朔

10)始祖前紀59年      2      日食     1−7
  秋9月、戊申の日の晦

11)南解次次雄3年      6      日食     1−10
  冬10月、丙辰の日にあたる朔

12)南解次次雄13年    16      日食     1−10
  秋7月、戊子の日にあたる晦

13)南解次次雄20年    23      金星     1−11
  秋、太白が太微(しし座の西端)に入った

14)儒理尼師今31年    54      ・星     1−14
  春2月、(天帝の住む)紫微宮(の近くで)光った

15)脱解尼師今3年     59      ・星     1−17
  6月、天船(天の川)で光った

16)脱解尼師今23年    79      ・星     1−19
  春2月、東方に現れた。
      北方にも現れ、20日たって消滅した

17)婆裟尼師今6年     85      ・星     1−21
  夏4月、(天帝の住む)紫微宮に入った

18)婆裟尼師今25年   104      流星     1−23
  春正月、雨のようにおちてきたが、地上には達せず

19)祇摩尼師今9年    120      落星     1−26
  春2月、大きな星が月城の西方に落ちた。その音は雷のようだった

20)祇摩尼師今13年   124      日食     1−26
  秋9月、庚申の日にあたる晦

21)祇摩尼師今16年   127      日食     1−27
  秋7月、甲イヌの日にあたる晦

22)祇摩尼師今17年   128      ・星     1−27
  秋8月、天をよぎった

23)逸聖尼師今8年    141      日食     1−29
  秋9月、辛亥の日にあたる晦

24)逸聖尼師今10年   143      火星と土星  1−29
  夏6月、乙丑の日、蛍惑が鎮星を犯した

25)逸聖尼師今16年   149      ・星     1−30
  秋8月、天市の星座の中で光った

26)逸聖尼師今20年   153      ・星     1−30
  東方に現れた
  また、東北東に現れた

27)阿達羅尼師今13年  166      日食     1−40
  春正月、辛亥の日にあたる朔

28)伐休尼師今3年    186      日食     1−42
  夏5月、壬申の日にあたる朔

29)伐休尼師今10年   193      日食     1−43
  春正月、甲寅の日にあたる朔

30)伐休尼師今11年   194      日食     1−43
  夏6月、乙巳の日にあたる晦

31)奈解尼師今5年    200      金星     1−45
  秋7月、太白が昼間から見えた

32)奈解尼師今5年    200      日食     1−45
  9月、庚午の日にあたる朔

33)奈解尼師今6年    201      日食     1−45
  3月、丁卯の日にあたる朔

34)奈解尼師今10年   205      金星     1−45
  秋7月、太白が月の中にはいった

35)てん解尼師今10年  256      日食     1−51
  冬10月晦

36)てん解尼師今14年  260      輝星     1−52
  秋7月、東方で光り輝く星があり、25日たって消滅した

37)奈こつ尼師今45年  400      輝星     1−72
  秋8月、星が東方で光り輝いた

38)慈悲麻立干10年   467      流星     1−80
  秋9月、天が赤くなり、大きな星が北から東南方へ流れた

39)慈悲麻立干21年   478      妖光     1−82
  春2月、ある夜、ねり絹のような赤い光が地上から天上につづいていた

40)しょう知麻立干6年  484      土星     1−84
  3月、土星が月を犯した

41)真平王8年      586      流星     1−114
  夏5月、流星が雨のように多く落ちてきた

42)真平王53年     631      土星     1−123
  秋7月、土星が月を犯した

43)真徳王元年      647      ・星と落星  1−145
  8月、ほうき星が南方に現れ、
     また多くの星が北方へ流れ落ちた

44)太宗武烈王8年    661      落星     1−165
  5月(末)、突然大きな星が賊の軍営に落ちた

45)文武王8年      668      ・星     1−187
  ほうき星が天船(天の川)のそばにでた

46)文武王10年     670      土星     1−197
  12月、土星が月と重なった    い亨元年庚午の年8月1日は辛丑の日
                   + い −−− 感から心をとった字

47)文武王12年     672      ・星     1−228
  9月、ほうき星が七度も北方に出た

48)文武王13年     673      落星     1−230
  春正月、大星が皇龍寺と月城との中間におちた

49)文武王16年     676      ・星     1−234
  秋7月、ほうき星が北河と積水の間に出た。長さが6、7歩ばかりもあった

50)文武王19年     679      火星     1−235
  夏4月、けい惑(火星)が羽林(天軍を掌る将星)のまわりにでた

51)文武王19年     679      金星     1−236
  6月、太白(金星)が月と重なった

52)文武王19年     679      流星     1−236
  6月、参大星(からすき星)をよぎった

53)文武王19年     679      金星     1−236
  秋8月、太白(金星)が月と重なった

54)文武王21年     681      流星     1−238
  夏5月、参大星(からすき星)をよぎった

55)文武王21年     681      流星     1−238
  6月、天狗(声を出す流星)が西南方に落ちた

56)神文王2年      682      金星     1−253
  5月、太白(金星)が月と重なった

57)神文王3年      683      ・星     1−254
  冬10月、ほうき星が五車(天庫、獄、天倉、司空、卿星)の星のなかにあらわれた

58)神文王4年      684      流星     1−254
  冬10月、日暮れから明け方まで、星が縦横に流れた

59)孝行王8年      699      輝星     1−260
  春2月、星が東の空に輝いた  

60)孝行王9年      700      木星     1−261
  6月、歳星が月と重なった

61)孝行王10年     701      ・星     1−261
  春2月、ほうき星が月と重なった

62)聖徳王5年      706      流星     1−264
  3月、多くの星が西の空に流れた

63)聖徳王7年      708      木星?    1−264
  夏4月、鎮星(木星?)が月と重なった
  *)井上本 による。 鎮星なら土星だ

64)聖徳王9年      710      流星     1−265
  春正月、天狗(声を出す流星)が、三郎寺の北に落ちた

65)聖徳王14年     715      金星     1−267
  秋9月、太白が庶子星(北極星、北極五星の第三星)をおおった

66)聖徳王14年     715      流星     1−267
  冬10月、紫微星(北斗星の北の星で、天帝がいるという星。のち、紫微は大宮・王都・禁城も意味となる)をよぎった

67)聖徳王14年     715      流星     1−267
  12月、天倉(星宿の名で、一つは婁ん宿の南にあって穀物を蔵すという。他は胃宿をいう)から太微(しし座の西端付近の十星。紫微垣星で、天子の宮廷・五星の座などをいう)に入った

68)聖徳王15年     716      流星     1−267
  春正月、月をよぎり、月が光をなくした

69)聖徳王17年     718      流星     1−269
  冬10月、昂(スバル座)からケイ(木+圭)(28宿の一つ。仙女座と双魚座にまたがる。文章・武庫などを司る)に入り、多くの小流星もこれに続いた

70)聖徳王17年     718      流星     1−269
  冬10月、天狗が東北方におちた

71)聖徳王34年     735      火星     1−278
  春正月、ケイ惑(金星?)が月をよぎった
      *)注がおかしい

72)孝成王元年      737      流星     1−289
  秋9月、太微に流れ込んだ

73)孝成王2年      738      太陽     1−290
  夏4月、白色の虹が太陽をつらぬいた

74)孝成王4年      740      土星     1−291
  夏5月、鎮星が軒エン(車+猿)大星(北斗七星の北にある星座)をよぎった

75)孝成王6年      742      流星     1−292
  夏5月、参大星をよぎった

76)景徳王3年      744      妖星     1−294
  冬、妖星が大空にあらわれて、その大きさは五斗入りの器ほどもあった。十日で消滅した

77)景徳王7年      748      流星     1−295
  春正月、天狗が地におちた

78)景徳王18年     759      ・星     1−301
  3月、ほうき星があらわれ、秋になってようやく消えた

79)景徳王19年     760      太陽     1−301
  春正月、朔、虹が太陽をつらぬき、太陽のみみかざりであった

80)景徳王19年     760      ・星     1−301
  夏4月、ほうき星がでた

81)景徳王23年     764      輝星     1−302
  3月、星が東南方で輝き、龍が楊山の麓にあらわれ、にわかに飛び去った

82)景徳王23年     764      流星     1−302
  冬12月11日、大小無数の流星があり、みていた者も数えることができなかった

83)景徳王24年     765      流星     1−303
  6月、流星が心<星>(火星)をよぎった

84)恵恭王2年      766      太陽     1−303
  春正月、ふたつの太陽が並んで出た

85)恵恭王3年      767      落星     1−304
  秋7月、三星が王宮の庭におち、互いにぶつかりあった。その光は火のようにほとばしり散った

86)恵恭王4年      768      ・星     1−304
  春、東北方にあらわれた

87)恵恭王6年      770      ・星     1−304
  5月11日、ほうき星が五車星の北に出、6月12日になって消滅した

88)元聖王3年      787      金星     1−320
  夏5月、金星が昼に現れた

89)元聖王3年      787      日食     1−320
  8月、辛巳にあたる朔

90)元聖王5年      789      日食     1−321
  春正月、甲辰にあたる朔

91)元聖王6年      790      金星・水星  1−323
  夏4月、太白・辰星(水星)が東井星に集まった

92)元聖王8年      792      日食     1−324
  冬11月壬子の日にあたる朔

93)哀荘王2年      801      日食     1−328
  夏5月、壬イヌの日にあたる朔、日食の日にあたっていながら、日食がなかった

94)哀荘王2年      801      火星     1−328
  秋9月、ケイ惑月と重なり、

95)哀荘王2年      801      落星     1−328
  秋9月、<流>星が雨のように<落ちた>

96)哀荘王9年      808      日食     1−331
  秋7月、辛巳の日にあたる朔

97)哀荘王10年     809      月      1−331
  春正月、月が畢宿をよぎった

98)憲徳王2年      810      流星     1−333
  秋7月、流星が紫微星をよぎった

99)憲徳王2年      810      流星     1−333
  冬10月、流星が王良星をよぎった

100)憲徳王7年     815      日食     1−334
  秋8月、己亥の日にあたる朔

101)憲徳王7年     815      輝星     1−335
  秋8月、大星が翼宿とシン(車+於の右へん)宿との間にでた。西にむいて飛び、その光の長さは六尺ばかりで、巾は二寸ばかりであった

102)憲徳王9年     817      日食     1−335
  夏6月、キ(発に似た)丑の日にあたる朔

103)憲徳王14年    822      月      1−339
  夏4月13日、月の色が血のようであった

104)憲徳王14年    822      太陽     1−339
  秋7月12日、太陽に黒いかさが南北にかかった

105)憲徳王15年    823      流星     1−340
  夏4月12日、流星が天市<垣>(三垣の一つで織女星、帝座星などを含む東北方の星垣。国家のジュ市・交易・斬リクを掌る。)におこり、帝座星(北斗七星の北にある紫微星で、天市垣の中にある。)をよぎって、天市垣の東北の織女星・王良星を過ぎて、閣道(紫微星のあとにある六星)まできて、三つに分かれた。その音は鼓(ホントハ、鼓のへん+皮)を打つようであったが、ここで消滅した。

106)興徳王2年     827      金星     1−342
  秋8月、太白が昼間にあらわれた

107)興徳王11年    836      日食     1−345
  春正月、辛丑の日にあたる朔

108)興徳王11年    836      輝星     1−345
  夏6月、星が東方で光り輝いた

109)興徳王11年    827      金星     1−345
  秋7月、太白が月をよぎった

110)文聖王6年     844      日食     1−360
  春2月、甲寅の日にあたる朔 

111)文聖王6年     844      金星・土星  1−360
  春2月、金星が土星をよぎった

112)文聖王7年     845      太陽     1−361
  12月朔、三つの太陽が並んで出た

113)文聖王12年    850      土星     1−363
  春正月、土星と月がかさなった

114)文聖王17年    855      土星     1−363
  冬12月、土星と月がかさなった

115)景文王7年     867      客星・金星  1−371
  12月、客星(水星?)が太白(金星)をよぎった

116)景文王15年    875      輝星     1−373
  春2月、星が東方で光り輝き、20日たって消滅した

117)憲康王6年     880      金星     1−375
  春2月、太白(金星)が月をよぎった

118)憲康王11年    885      金星     1−377
  冬10月、壬子の日、太白(金星)が昼現れた

119)真聖王2年     888      日食     1−381
  3月、戊イヌ(戊に似た)の日にあたる朔

120)真聖王4年     890      太陽     1−381
  春正月、日にカサが五重にもかかった

121)孝恭王9年     905      落星     1−391
  春2月、星が雨のように落ちてきた

122)孝恭王12年    908      輝星     1−392
  春2月、星が東方で光り輝いた

123)孝恭王15年    911      日食     1−393
  春正月、丙イヌ(戊に似た)の日にあたる朔

124)神徳王6年     917      金星     1−394
  春正月、太白が月をよぎった

125)敬順王8年     934      老人星    1−404
  秋9月、老人星(南極星)が現れた
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