加藤賢一 データセンター |
博物館学 |
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1.博物館、博物館学とは 1)博物館とはどんなところ? 2)博物館学概要 2.博物館の歴史と現状 |
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Flower:進化論に依拠して大胆な展示改革を断行した(大英博の自然史) ・George Brown Goodes:題箋や解説パネルの重要性を説き、また生態展示やジオラマを大きく採り入れた(スミソニアン) ・Arthur Hazelius:スエーデン。スカンセンにおいて民族文化を物質文化ばかりでなく、人とその技術や技能も含めて復原し、最初の野外博物館を創設 ・Oskar von Miller:ドイツ理工学博物館。現代に通じる展示や解説活動 @展示の歴史(英国自然史博の Roger S. Miles) 3期に分ける: 1:施設主導型−壮麗な建物があり、資料はそこから配置される 2:資料主導型−分類整理された資料そのものを正確に配列し、解説する 3:メッセージ主導型−しかし、以上の展示は誰にでもわかるものではなく、語り掛ける展示でもなかった。今日の展示は博物館からの積極的な情報発信として、明確なメッセージを持ち、誰にでも受け止められるよう工夫して展開される 2)博物館の種類 ・収蔵品による分類 総合博物館、考古学博物館、美術博物館、歴史博物館、民俗博物館、自然史博物館、科学博物館、産業博物館、軍事博物館 ・運営主体による分類 国立博物館、公立博物館、大学博物館、私立博物館、企業立博物館 ・地域別による分類 中央博物館、地域博物館、郷土博物館、 (伊藤)地域志向型、中央志向型、観光志向型 ・入館者対象別による分類 教育博物館、一般博物館、専門別博物館、青少年科学館(子ども博物館は違う?) ・展示方法別の分類 一般博物館、野外博物館、歴史的建造物博物館 3)博物館の現状 @倉田・矢島の円グラフ化された統計資料 @ユニークな資料の博物館は私立が多い ー 紙の博物館(王子製紙)、船の博物館、塩とたばこの博物館、五島美術館(源氏物語絵巻)、海の博物館(鳥羽。7000点の重要有形民俗資料)、藤村記念館等の記念館。 4)国際関係 ・ICOM International Council of Museums, =============================== 3.博物館の機能 1)4つの機能 2)資料収集・保管 ◆収集(コレクション)とは ・コレクション=収集品群 *資料を持たない博物館(例: ) Alama S. Wittlin (米、博物館学者)の収集の分類 ・経済的蓄財(海賊の宝物) ・社会的地位の誇示(新興成金の美術品など) ・魔術的(教会における聖者の骨など) ・集団の忠誠心の表現(スポーツの優勝トロフィーなど) ・情緒的経験のため(絵画、貝殻、切手など) クシシト・ポミアンの定義 コレクションとは「一時的もしくは永久に経済活動の流通回路の外に保たれ、その目的のために整備された閉ざされた場所で特別の保護を受け、視線にさらされる自然物もしくは人工物の集合」 @理念と原則 ・空間的限定 国立か村立かでは収集空間、空間的範囲が限定。その地域出身の美術家を対象とする美術館。行政区域への限定ー幅が狭くなる ・時間的限定−時代の範囲。単純にはいかない。前後の関係が欲しくなく ・計画的収集−いつまで、どのまで収集するかを決めてかかる。 ・特色ある収集−主体性と積極性。集まりにくい現在ならこそ。「熱い心と冷静な頭」資 料の宝庫を作るには「気力、根力、金力、熱力」 ・収集の基準− ・情報の収集−モノに関し文献、伝承、伝説など関連情報を入手する.モノに先行して。知的好奇心が旺盛でないと集まらない。 ・異なった視点から新しい価値を見出す−新しい分野の資料が。 @収集の方法 ・一次資料、二次資料 − 来歴(document)が重要 + 情報(報告書、研究書、図書、伝承など) ・一次資料 − 実物(資料、標本、作品) *KEKの装置の例 ・二次資料 − 製作物(複製品、模型、写真など) @収集手段 ・採集 − 捕獲、伐採、発掘も。法令、条例など。補償、所有権のこと。海外からは通関のこと。 ・購入 − 事前調査。来歴、所有権の明確化。評価委員会。海外からは条約等も。 ・製作 − 模造、模写、模型、複製などの二次資料。カットモデル、シースルーモデル。 模造−実物と異なる材料で見掛け状の形質や形状を実物と同じように作る 複製−実物から型どりした立体的なコピー (模造・模写では製作者の知覚や主観が入り、複製・複写・拓本は機械的要素が強い) ・交換 − 自然系は多い ・寄贈・寄託 − 間でトラブルがないように。証書の交換。館の主体性。 *阿部さんの例 ・借用 − 短期間。借用証書 @収集の注意 ・法的規制−文化財保護法、自然環境保全法 ・所有権−物権、漁業権、入会権、著作権 ・乱獲 ・モラル−地域の信仰や慣習を侵害しない、他の博が収集中のもの ・収集保留−将来の段階まで現地に残す ・報告と謝礼−発見者、採集者、寄贈者の公示、報告の義務、礼状など ・ICOMの倫理規定 − 学芸員の個人的取引禁止 (例)カ @登録・管理 ・registration − 整理、分類され、登録されて博物館資料として収蔵され、活用を待つ。この一連の作業が registration。欧米では専門の registor − documentation 記録には簿冊式、カード式 + 電子的記録。デ−タベース化 ・分類 − 大中小位にしてあまり細かく分けない。 ・イギリスでは最低限の基準を作り、登録、記載、管理を全土で統一した(1977から) ・搬入 − 洗浄、殺虫、殺菌、等の後、記録。博物館環境への順化。仮置き場、整理作業室、薫蒸室、重量物運搬機器。 ・受入原簿(受入台帳)−受入番号 ・整理−受入原簿、登録原簿に必要な調査・研究、洗浄、清掃、整理、計測、写真撮影、修理・修復、保存処理、薫蒸など。 ・ラベリング、ナンバリング−個体番号を付して整理。インク、ポスターカラー、エナメル。 ・鑑定・同定・分類−資料の特定。特徴、来歴、分類上の位置、名称など。 ・登録−登録原簿を完成させる作業。資料の戸籍簿、履歴書。 ・収蔵−収蔵台帳、収蔵資料分類カードにどの場所に収蔵されているかを記載。バーコードによる管理(江戸東京博) @資料の保存 ・収蔵庫 − 貴重な資料を盗難・災害等から守る ・人類遺産の保存と共に「活用」を前提とした保存。時間とともに劣化、分解、変質する。 ・外的要因もある−酸素、水、土砂、地理的要因(火山、山岳、海岸、地震、虫他)、気象的要因、日照、他 ・モノに合わせた保存法−アルコール漬、ホルマリン(液浸標本)。絵画の表装や桐箱、木製品 ・温度17−18度、湿度55−65%、暗黒状態 ・防震対策 ・学芸員の重要な仕事。技術のマスター。 @梅棹の「博情館」 − しかし、その中心はモノ.document GA @目的志向型 無目的型 ◆考古資料 @台帳、標本への注記、収納、記録票の作成 @記録票・受入簿 @考古資料索引カードの一例(立教大学) ◆考古資料 ・図書カードの例 ・収蔵番号順、所在(収蔵庫の)、品目、時代、地域別カードを作成 内容は全て同一で @収蔵棚、収蔵箱 @考古資料の整理 ・基礎的な整理 水洗 略番号の記入 接合・復原 ・分類・記録 分類 − 整理カード 拓本・実測・撮影 3)調査研究 ・いかなるものか? 研究と勉強の違い。物知りは大事 佐 科学的な真理の探究。独創性 − 世間へ公開。 キャベンディッシュの例 @博物館における調査研究 3分野 1)資料の収集保存について − 博固有の研究。登録法も流動的。保存と修復の技術開発。検査法。展示・保存に際しての環境の研究(地震対策などは新しいところ) 2)博物館資料について − 対象が大学等と異なる。大学教育が即役立つとは限らない。資料に基づく基礎研究、比較研究、地域限定=郷土学、 3)資料と人の結びつき(教育学的研究)− 展示技術含む。業者まかせ。マーケティングリサーチの導入。展示評価 ・帰納的・演繹的研究 ・大学的研究・博物館的研究 ・研究機関としての博物館 文部省科学研究費補助金 − ほとんど研究機関と認められていない 日本育英会 予算に占める研究費 4)展示 ◆考古資料 ・オープンエアー型と屋内型 ・テーマ別では、時代型(江戸村など)、産業史型(和銅記念館,紙の博物館など)、地域型(雪の博物館、山岳博物館など)、民族型(アイヌ記念館など) ・展示主題 人、家、社会、経済、精神 ・展示方法 − 導入部の重要性(ビジターズセンターなど) − 流れ:過去から現在へ、現在から過去へ。 − 主題を、実物、パノラマ、ジオラマ、模型、パネル、写真、人形などで ・問題点 − 学問的裏付けのある手段による資料収集 − 正確な観察・記録 − 学芸員へ経済的・精神的支援を管理者が与えること ◆歴史的展開 ・博の「顔」、博物館の根幹−館の評価に直接つながる ・「展示」と「陳列」(列をなして陳べる)の違い−古い美術館の体質 ・19cの先駆的試み トムゼン Christian Jurgensen Thomsen による三時代区分法(石器時代、青銅器時代、鉄器時代)による展示(まだこの分類は確立していなかった。1819年) 動植物の生態的グループによる展示(ビュロックの作ったロンドンのリバプール博物館で1815年初めて生態展示を) 進化論による展示 William H. Flower(大英自然史博) ・多くは「資料が語る」態度 ・陳列ケースとその配列−「施設主導型」 → 教育効果、つまり「展示」への変貌 ・グード(George Brown Goode) 展示とは「適切に選択された資料と解説的な説明ラベルの集大成」 ・展示に合わせてケースを作り、レイアウト、建築も考えるように。「資料主導型」 ◆展示の意義 ・展示とは? 情報伝達に目的を持った見せ物。目的、意図、積極性がある。実物教育の実践。 「展示は通り過ぎようとする人の眼を捕え注意を促し、より注意深く観察させるようにしなければならず、そのためには人間性と心理学についての知識とその目的を達成するための技術を必要とする」 ・対象−不特定多数の自由意志。経験、知識、教養、好み、年齢層、等々がバラバラ。 ・展示解説を Interpretation と呼ぶアメリカ。もはや現代大衆のこころを掴むにはモノと解説パネルだけではだめ。モノの工夫、配列、照明、色彩等も。 ・余暇活動−競争相手がたくさん。楽しみながら学ぶ − ソルトレークの科学館の例 ・学芸員が分かっていないと相手への分からせ方が貧弱になる。 − 大阪、プラの例。 −調査研究の重要性 @展示の種類 ・スタイル 屋内型(indoor museums )、野外型(outdoor,open-air)、現地保存型(site museum) ・スタイル2 分類展示 自然的分類 人為的分類 生態展示 生態系 時代室 動態展示 課題展示 テーマによる企画展 総合展示 ・スタイル3 常設展示 − 良い博物館。月ごととか、資料の出し入れとか変化はある 特別展示 @展示の原理 ・観察 − 視覚教育。多くの資料、関連資料、正確な情報提供 「百聞は一見にしかず」 人間の記憶 聞いたこと 10% 読んだこと 30% 見たこと 60% やったこと 90% 人間の情報の摂取量 80%が視覚(見るではなく、視る) ・比較と対照 自分の持っている知識と比較対照させるのが分かりやすい − 全く知らないものでは駄目! 「学習者に見ようという意欲を起こさせて、しかも欲求不満にならない程度のむずかしさ」 ・注意と関心の喚起 自分の知識体系の延長を促す − 分かっていることに付け加える、「うまく伝える」 展示と料理の原理と同じ(材料吟味、味付け、盛りつけ、器、デザート) ・分かりやすい展示 抽象的は分かりにくい − 博物館はモノ中心で、これはないはずだが真面目すぎも駄目 知的な遊びが大事。見学者は多種多様。一様に分かりやすいのは不可能だろう。解説も含め。 @展示室の条件 モノの保存、安全とヒトに対する生理的、心理的、教育的配慮を。 「与えられたもの」としての展示場、変化・発展することを心得て。 ・物理・化学的条件 ・動線計画−公開ゾーン、非公開ゾーンに大別。単純・明快、動線が交錯しないこと、動線の使用量に応じた長さと幅、非常事態への対応。完全強制動線、強制動線、半強制動線、自由動線 展示室のレイアウト−中央広場型、廊下接続型、平面巡回型 展示の展開に動線を従わせるよう、可動ケース、パネル、衝立て、結界、植木などを活用。 ・視線計画 10歳と15歳では全く異なる平均眼高(120cm、150cm=大人) 下目が疲労が少なく、親しみやすい 上目使い−崇高なもの、憧れるもの。宗教的モニュメント 視野−上下120度、左右110度。良好視野−中心の25〜30度。「退き」の距離が大事 ・温湿度 モノとヒトでは異なる。モノに厳しい寒暖の差。20度、60%目安 展示室内と異なる空調系、調湿剤の使用(エアータイトケース、完全密封ケース)。剥き出し展示は徐々に馴らすしかない ・照明・採光 自然光から人工光線(蛍光燈)へ−制御。紫外線カット、 保存を考え、100〜200ルックス以内。 *浮世絵の例 白熱灯の熱−スポット的使用。着脱式、移動式。 調光可能な蛍光燈もある 展示室内−ケース内の50%以下、メモをとれる程度でよい(50〜70ルックス)。 白熱灯。 ケース内はバックが資料の半分になるように。 周囲を暗く、ケースを浮きだたせる−展示10、背景1。 色温度への配慮−ハロゲン電球は良い。蛍光燈は青い。3000〜4000度。ガラスは青い。 照明による劣化防止−熱カット。クールビームランプ、コールドランプ。ケース内では 白熱球は使用しない 光源位置−斜め上方。ガラス面での反射光の処理、 *科学館の暗幕のこと 他のへ影響 ・生理的条件 疲労原因−順路が長い 休憩所が少ない 温湿度 照明 展示が単調なこと 不自然な姿勢 ・心理的条件 「博物館疲れ」−精神の緊張と歩行、「飽きる」と疲れたと感じる AIDMA(アイドマ) attention 注意させ interesting 興味を持たせ desire 欲望を起こさせ memory 記憶させ action 行動させる @展示の方法 ・展示の形式 光・照明上の制約からの自由 − 展示中心主義へ 設備も固定しない方向。移動パネル、移動式照明など 多様な見せ方の展開 ・壁・背景 背景の効用 − 心理学的追究 ・展示技術 見せ方の技術、演出 − ここにも独自性が。 劇場 − いかに見やすく、分かりやすく、より良く理解を。 デザインの重要性−見せる工夫。デザイナ− 5)普及教育活動 @教育 文化の継承 − 日本の旧来 個人の能力の開発 − アメリカ式 @社会教育 ・社会教育−多くは発展途上国の識字教育 − (例)ラビレットの数学 ・成人教育 adult education、リカレント教育 recurent education → 生涯学習 life long integrated education(学校教育を基礎として含む)へ成長 ・わが国の歪み 学校教育の過大な重視。文化の継承・発展重視教育。教育は何でも学校で−博物館職員に教員を。 ・集団教育(青年学級など)と施設利用教育(図書館、博物館など) ・社会教育施設(図書館、公民館)と社会教育機関(博物館)の違い 図書館、公民館職員には特定学問領域の専門性は求められない。学習機会の提供。 学芸員は特定学問領域の専門家であり、教育者でなければならない。知的専門職 @学校教育と博物館教育 ・展示 − モノによる教育。 ・「学問と研究のセンターであったヨーロッパからの借り物であったが、アメリカでは最初から主として知識の普及のための機関であった」−教育に力を入れるアメリカ。(例) サイエンスセンター ・学校 対 博物館 特定の人 不特定多数 年齢・知識レベルがほぼ一定 年齢・知識レベルの格差あり 一斉授業(主に集団) 個人学習が主、集団も可 教科書(文字、言語中心) 展示品(モノ)中心 教師が生徒に教える(授業) モノそのものに語らせる 主として理性に訴える 主として感性に訴える 学習指導要領による定型、継続 自由意志に基づく非定型、非継続 @博物館教育の原理 ・博は視聴覚教育−「感性的認識」と「理論的認識」を統一する 学校では補助手段とされる。 ・自発学習 ・地域社会中心 ・統合 − 成人教育、学校教育、家庭教育、老齢者教育等の統合 ・ @博物館教育者 ・教育専門職 museum educator − museum teacher,instructor,educator − は second citizen ではない 1970年代以降、米国を中心に教育部門が整備され、専門スタッフの確立。教育部門のが学芸から独立。しかし、問題もある。 日本は法的にも一本。しかし、最近の傾向は違う。 ・普及から教育へ @博物館教育プログラム ・展示 − 教育部の参画、プロジェクトチームによる改装 教育部が中心となる展示−巡回展、移動展、体験学習室(discovery room) ・集団学習 展示解説 docent,instructor,interpreter.オートガイド登場。国民性 展示室講話 gallury talk 講座、 講演会、 ワークショップ = 実技教室 体験学習会 (例)土器作り、玩具作り、 ・機器の使用 オートガイド − 文字解説の削減。外国語対応。 (例)国際化? 映像機器 − 展示への組み込みは当然。独立コーナーへの注意点−ビデオテーク 情報機器 − クイズ形式、レファレンス機能、 − 新情報への対応 ・言語(文字)形態 パンフレット リーフレット 解説シート 図録 資料目録 解説書 研究紀要 調査報告書 年報 要覧 博物館叢書 ・同好者育成 友の会 同好会 クラブ カルチャーセンターとして、民衆の大学としての役割 @対象別の形態 ・子ども向け、老人向け、障害者向け、教師向け、高校生向け、 ・学齢期前後対象の展示、教育プログラム − 一般としてはいかない ・学校教育との連携プログラム ワークシート 学習シート 教師への相談窓口 ・ボランティア養成プログラム アメリカの展示解説の例 適正・能力による選別 本質 − 一般の人々の博物館活動への参加、博物館活性化のための一つの教育プログラ ム。 2)現代博物館の機能 =============================== 4.機能を支えるハード 1)建物 ・法−公立の 2)設備・機器 ・法−公立の =============================== 5.機能を支えるマンパワー 1)組織 @組織 ・社会の中である役割を果たす人間集団 ・そこでの倫理は、その集団への忠誠。義務と責任 ・組織の運営は官僚制(bureaucracy) − 一定の形式に従う、指揮命令を下す官僚がいる @法4条 @学芸員集団、職員集団、統括者 ・学芸員集団−教育普及部門の独立 ・職員集団−事務職員、施設管理職員 @運営母体 ・欧米 − 独立している博物館 ・日本 お役所内での位置づけ−お役所の一ポスト(本庁の課長クラス) 法人設置 − 理事会、館長は一理事。大英博のトラスティー −−館長の独自性が発揮しにくい構造。海外の博物館長 Director との相違 事務屋の館長。お役所の一ポスト @学芸員の構成比 ・図書館や学校に比べ圧倒的に少ない ・93年調査。登録博物館の学芸員数=1980(619館、平均3.2人,兼任・非常勤含む) 学芸員以外で担当している者を加え、平均5.8人 ・93年調査。博物館相当施設の学芸員数=409人、平均1.7人。学芸系とすると平均8.8 人。 @博物館協議会 ・法20、21、22条:館長への諮問機関 ・形骸化 − 大英博のトラスティー 2)学芸員 @人数の明示 法8条:文部大臣は、...、博物館の設置及び運営上望ましい基準を定め、 1973年にようやく「基準」が制定 しかし、実態はお寒い @学芸職員の専門分化の世界的傾向 ・米の例(スミソニアン、イクスプロラトリウム) curator 調査研究を restorer 資料の保存に関する科学的研究 conservator 資料の修復技術者 exhibition designer 展示の効果的な構成や演出技術 educator/curator of education 教育の調査研究と企画実施 registrar 資料の登録と管理 以上に加え、標本製作、模型や複製の製作、写真撮影、情報処理等の技術者 米国では半数以上が学芸職 @わが国の現状 博物館の目的を実現させることを直接の分担とする人達! 貧しい。貧弱 専門性があまり生かされない。専門職として認められていない−事務のやる! − 職員数が少なく、雑芸員になっている。ジェネラル、 − 学芸員の資質の問題 − 設置者や管理者が調査研究分野以外の業務(例:教育)を軽視し、簡単に雑用ができると考え、その分野の専門家を置こうとせず、結果的に自分の専門も生かされず、他の専門家も入らない − 養成、研修不足 − 貧しさの結果 資料取り扱いの技術、保存科学などは大学ではまったくできない − 資料系と教育系を分けることさえできない @名称「学芸員」 1951年の学芸員法から 専門的(!)職員 − curator との相違を意識か。教員資格を最低要件とした @学芸員は curator か? curator − 一般大学の教授級の専門家(スミソニアンの例) ・アメリカの例 curator assistant assistant curator associate curator − tenuer ・フランスの例 文化省と博物館総局が全土の博物館を統括 専門職員養成 − 人文系はルーブル博物館付属学校、自然系はラ・ビレット。 ルーブル学院では3年の教育後、国家試験 − 「博物館講師」資格 − 国立博の専門分野の解説や教育活動ができ、公私立博の職員へ。その上、上級学生として1年学べば「国立博講師」の受験資格が得られる。このレベルで国立博の展示解説やセミナーの講師、専門分野の研究補助に。conservatourはさらに上級の国立博物館職員となれる。 文化財の管理監督の専門職は「国家保存監督官」。この資格試験合格者は、18ケ月の教育後、採用される。 @学芸員の位置 「学術」と「技芸」の専門家 社会的認知度は低く、「研究職」とされているのは1道18県4市1町。他は一般行政職 専門性への無理解 − 倉庫番?誰でもこども相手はできる。施設ができれば博はできた @役割 ・「雑芸員」−伝道者的情熱(missionaly zeal) ←→ 資質に問題ある学芸員(意欲喪失、利己的、仕事の限定) ・学術の専門家、博物館活動の専門家 ・広い教養を持ち、分析的な専門研究の成果を十分取り入れられる基礎を持ち、それを教育的に、効果的に、資料を用いて、展示という方法を通じて社会教育の目的を達成する専門職。 ・私の定義 一般的な学芸業務の他、「資料に関して市民の言葉で市民へ語る」教育活動を行うこと @専門分化 ・4つの機能+教育実践者、が理想(鶴田)。でも、今は無理 ・そこで、 科学技術者としての学芸員(資料の保存を中心に) (資料)研究者としての学芸員 教育者としての学芸員への分化。可能なら+情報技術者 @専門性 ・大専門 上記3分化くらいしないと、博物館の機能を十分発揮することはできない ・小専門 大専門の分化 ・外部委託 ・プロ意識 − 余人をもって代えがたい能力と意識 Wiilium Goode の要件 一般理論について長期にわたる特殊な訓練が行われること 単なる特殊技能の訓練では不十分であること その活動が公共への奉仕を指向していること −独自の理論によって活動する。よって司書はスペシャリストでも、プロ性が認められない。なぜなら独自性を発揮する場=舞台がない。司書が独自の価値観で読者を指導することはできない。大学教授や学芸員はその場がある。 @学と芸 ・学術 − 問い続けること。ウェーバーによる学者の要件:情熱,責任、明晰 p.103コピー ・芸 − 業。「身体の全体または一部を動かすことにより、文化価値を創り出すとか、再創造するとかの働き」 @職業としての学芸員 ・待遇 ・社会的地位 @求められる能力 ・構想力 − 企画力.目標に向けて必要となる条件を発見し組み立てる ・実行力 − 限られた条件の中で、目標実現に向けて必要なものを組織し、創り出していく能力 ・誠実さ − 一つ一つの事実を大切に対処。市民に謙虚に対処する態度。 3)職員 @学芸部門を支援する手段的な庶務部門の機能をになう @学校と異なり、大きなウエイト − 公衆の利用!(土日開館もある) 学芸業務に無理解なことが多い(短期配転)、事務系職員と学芸員との関係悪化の例 @学芸員につく事務員が大事 − 欧米、貧しい日本 @館長 −本来、最高責任者。象徴や名誉職ではない ・アメリカ型 − 博物館活動や運営の資金獲得を含む広範な経営を行う ・ヨーロッパ型 − 学芸部門の活動の総括者であり、頂点 ・旧共産圏型 − 政府の文教・科学政策と直結した政治的色彩の濃い。しかし、純粋の官僚は少ない。 ・日本 − 独特の公立博物館。行政事務職、学校長、なども。かなりは学芸上がりだが。あるいは、名誉職。 ・要件 − 博物館学に関する理解、認識。中核的業務は何なのか、の理解 ・学校長、病院長、大学、等との差異 − 教育研究機関の博物館だけは出鱈目人事。why? 3)ボランティア =============================== 6.博物館法と関連法規 1)博物館法成立の経緯 2)博物館法の構成 ・登録が上で、相当が下ということではない。 相当−1955年の法改正で追加。国立の館、学校付属、教育委員会以外の所管する公立の館、財団や宗教法人以外の私立館 ・登録私立博のメリット−税制上の特典:所得税、相続税、固定資産税などで優遇 ・学芸員の呼称 − 登録博物館にのみ適用。 ・文化財保護課の学芸員 − 博物館でないのに。規定がないため。 ・学芸員4つの養成制度。毎年5000人ほど(近年増えている。大卒有資格者の就職率は2%。登録562館、相当も含め799館)。 3)関連法規等 4)ICOM関連規定 @博物館をあらゆる人に開放する最も有効な方法に関する勧告 1960年12月4日第11回ユネスコ総会 国際博物館会議規約 1989年9月5日、オランダ・ハーグにおける第16回総会で採択 @職業倫理規定 1986年11月4日第15回大会で採択 倫理=人倫のみち。実際道徳の規範となる原理 ethos=精神、エトスは習慣のことで、それが倫理となる。エトスが内面化すれば魂ともなる。それは各人の心がけにもよる。つまり、後天的なものもある。 モラル moral =意欲 @職業観 ・3つ:生計を保つ手段=labour、社会の活動・発展に参加する、自分の才能や個性を発揮する @1986年、ICOM第15回総会で。1960年代から提案 倉田p.115、コピー =============================== 7.博物館の運営 1)経営とは 持続的、計画的、協働的に運営、管理すること − 組織、職能による分化 技術的経営と経済的経営 ・経営論の登場 1960年代のアメリカから。日本は1990年代。 社会的文化的インフラストラクチャーの整備から運営に力点が移ってきた−作れば良い時代の終焉 ・全般的管理=administration、あるいはトップマネージメント (上は文化行政、博物館行政との関係) 部分管理=management 2)トップマネージメント ・博物館行政 − 法。自治体の法無視 − 裏にある貧しさ。文化的背景や国民性 ・博物館の理念・役割・目的の確立。博物館協議会の役割(機能しない) (例)大英博のトラスティー ・施設、設備の構想 − 理念の具体化のための物理的基盤 ・人的資源の構想 − 理念の具体化のための人的基盤 ・財政 全国統計で教育関係費(1978年、13兆9000億円)の0.24%! 税法上の問題 − アメリカなどの非営利団体への減免税処置 設立後の維持管理費 ・機関としての博物館作り 開店セール的 − 「ハコモノ」=施設を作れば終わり! 活動する機関へ 3)部分管理=management ・機能(調査研究、資料収集保管、展示、普及教育)の管理運営 ・展示公開とその他に分化。その他から教育が独立の方向 ・市民ニーズと評価 *これらの難しさ−行政のエゴ 評価の専門家 evaluator,museum analist − アメリカでは専門会社 (日本では評価に値するほどお金を使っているところがない) ・施設の管理運営 食堂、喫茶室、駐車場、収蔵庫、研究施設設備 ・組織と職員の管理運営 学芸部門と非学芸部門(理念を理解しない非学芸部門、現状を把握できない学芸部門の対立) 展示公開部門とその他 館長 − 公立館の困難さ。学芸部門を掌握できる学的力量と行財政分野を含む経営手腕。 補佐する副館長制 財団による複雑化 − 益々進む貧困への道 学芸に薄いわが国 − 欧米との比較。悪待遇−優秀な学芸員は集まらない。 ハード重視、ソフト軽視の行政の中での運営。 (例)兵站で敗れた日本軍 博物館に冷たい市民の中での運営。 (例)不要なモノは捨てる − 歴史の薄い、国民性の異なる日本では定着困難な博物館活動か? 4)評価 ・社会的存在としての博物館 社会調査(マーケットリサーチ) 20%:博物館をよく利用する 20%:利用したことがないし、その気もない 60%:存在は知っており、機会があれば行ってみたい アメリカ:専門会社、あるいは専門のリサーチャーを。 ・今日的課題 法的には博物館協議会 日本には理論もシステムもない。科学的、分析的評価はこれから。 − 一方では嫌がる行政。悪いところしかないから。 ・市民ニーズと評価 *これらの難しさ−行政のエゴ 評価の専門家 evaluator,museum analist − アメリカでは専門会社 感覚的な市民、一方評価は科学的に厳密な尺度で。 − 行政の愚民政策。官僚のおごり ・展示評価 分析検討し良否を判定する 企画、設計、製作、運用のさまざまな段階に当てはめて。 内部作業(主に企画、設計、製作)の評価も専門家の醒めた目を。当然としてきたことの再検討 −展示委員会などの外部機関。 −展示業者が作り、学芸員がお守り!評価が必要! 製作 − 実物大のモックアップを作ることなどない。評価がない!できないと分からない装置!! 原因追求と責任のなすりあいからの脱却−次に向かっての課題整理とする ・来館者への調査(何を求めているか、何が実現されていないか) 行動観察、面接調査 例が少ない − 日本の貧困。少ない学芸員、スタッフ。 ・社会構成員(市民)への調査 例は少ない 新しい見学者層の発掘。マーケッティング・リサ−チ =============================== 8.社会構造の変化と博物館 1)文化振興と博物館 2)文化財保護 ・1951年法制定 ・国立博物館−文化庁 3)生涯学習時代の博物館 ・学校教育を基礎教育として含む。これまでの教育観を逆転される発想。 ・生涯学習局−1988年、文部省の筆頭局に。 ・1981年、中央教育審議会答申「生涯学習とは、社会教育と同義語ではなく、それは生涯にわたり「自分を育て続ける」ことであり、自己の充実、生活の向上のため、自己に適した手段、方法で生涯を通じて自発的に行う学習であり、生涯学習を助けるために社会の様々な教育機能を総合的に整備、充実しようとする考え方を言う」−統合 integrartion ・専門教育機関として注目を集める博物館 @伊藤の3世代論 参加志向、展示中心から事業中心へ、市民との共同調査・研究、 4)学校教育との関係 5)社会の変化への対応 国立機関ー独立行政法人化 第三セクター運営 市民生活に根ざした運営 社会教育と行政 =============================== |