恒星スペクトル合成プログラムsynmac4

アーカイブファイルはここにあります: synmac4.zip

1.はじめに

 ある波長範囲の恒星スペクトルを作り出すプログラムで、スペクトル線の同定や輪郭を再現することを目的に作ったものです。1980年台初頭に作った   synth*(大阪市立電気科学館館報昭和59年度版,1985)とほぼ同じで、synmac4版では計算できる波長幅を広げたり、   Kurucz (http://kurucz.harvard.edu/)の形式のダンピング係数を受け付けるようにしたなどの微小な変更は行ったものの、 メモリーが少ない時代のアルゴリズムはそのままになっています。

 備忘録代わりですが、こんなものでも参考になるという方がおられるかも知れず、古いことを承知の上でアップすることにしました。

 なお、教育用には十分な能力を持っていると思いますが、研究用にはもっときちんとしたものを使わないといけません。

  ** 竹田洋一さん(国立天文台)が sptool という素晴らしいプログラム群(KuruczのATLASやWIDTHなどのプログラム群にとても便利なI/Oを竹田さんが作成し、 付加したもので、とても使いやすいものになりました)を公開されているので、研究用にはこれをお薦めします。下記を参照してください。

http://optik2.mtk.nao.ac.jp/~takeda/sptool/(2022.10.23.現在、リンクが切れています) 

2.synmac4 の概要

1)パソコン

 Windows7でコンパイルしましたが、ソース・プログラムはFORTRANで書いていますので、他のプラットホームでもコンパイルし、実行できます。  機械に依存するグラフィックスなどは使っていません。

 なお、コンパイルには無償で使用できるコンパイラ gFortranを使用しました。  実行時にはgFortran用のランタイムライブラリーが必要になりますので、ご注意ください。

2)ファイル構成

 synmac4は実行ファイル(synmac4.exe)に、入力用データファイルが3種必要とされています。

 詳しくはsynmac4.readme.pdfをご覧ください。

・実行ファイル  − synmac4.exe

・入力用ファイル
 − ELMNT.txt    − 元素量の調整量を与える。名称変更不可
 − MODEL.DAT    − 大気モデル。名称変更不可
 − Line_data_file − スペクトル線データ。名称は自由に設定。20字まで

 計算結果は次の3種のファイルに書き出されます。
・出力用ファイル
 − SYNROT.DAT − 最終的な合成スペクトル
 − SYNFLX.DAT − フラックスの生の値
 − log.txt   − 計算進行を見るための

3.用意すべきファイル

 入力用の3ファイルは自分で用意しなければなりません。ここでは見本に次のようなものを置いています。

  ELMNT.txt    − 用意してある標準元素量そのものを使うことにし、調整量なしの例
  MODEL.DAT    − Holweger and Muller の大気モデル
  Line_data_file − BA.DAT、強いバリウム線4523.166Aを含む前後の波長の線データ

4.実行法

 実行ファイルと入力用ファイルを同じファルダーに入れ、実行ファイルsynmac4.exeをクリックすれば走り出します。

 中間ァフィルSYNOPA.DATがフォルダー上に作られますが、計算終了とともに消去されます。これは各深さ点での吸収係数を一時的に収納しておくファイルで、これが典型的な古い時代の名残りです。

 最終的に3つの出力ファイルが得られます。SYNROT.DATが最終的な合成スペクトルではsynmac4.readme.pdfの表3にように値が並んでいますから、適当なグラフ表示ソフトで見てください。

5.計算例

 ここに収めたファイルで得られた合成スペクトルの結果を紹介しておきます。太陽の場合に計算し、観測された太陽スペクトルと比較してみました。

図1.synmac4で作成された4523A-4545Aの範囲。黒線は合成スペクトル、赤線は観測で得られた太陽スペクトル

図2.上の図1の拡大。4523A-4530Aの範囲

図3.竹田さんのspshowで得られた合成スぺクトル。Kurucz の太陽大気モデルを使用。赤線は観測値

 図3は図2と同じ領域を竹田さんの spshow で得られたスペクトルです。spshow はKurucz のsyntheというプログラムをベースにしていますから、これはsyntheが与える結果ということですが、図2と良く合っているようです。

6.プログラムの内容

 スペクトル線の強度を予想するプログラムWID99の説明書を一緒にしていますので、それをご覧ください。吸収源や線吸収係数の求め方などは同じルーチンを用いています。

7.配布ファイル

 ソースファイル         synmac4.f
 実行ファイル          synmac4.exe
 大気モデルサンプル       MODEL.DAT
 元素量の調整用ファイルサンプル ELMNT.txt
 スペクトル線データサンプル   BA.DAT
 この説明文書           synmac4.readme.pdf
 参考にwid99の説明文書      WID99.readme.TXT

をまとめてアーカイブしていますので( synmac4.zip )、適当な解凍ソフトを用いて解凍してください。

 エラーがたくさん残っていると思います。お知らせいただければ幸いです。

(2013.10.30.)(2022.10.24.)